自社の上場準備を通じて感じた課題をサービスに反映。より使いやすいプロダクトを目指して 〜 デジタルキューブ 管理部 部長 和田拓馬氏インタビュー

TPM上場

2024年に東京プロマーケット(TPM)への上場を実現した株式会社デジタルキューブ。WordPress を軸としたホスティングサービスの提供や受託開発を手がける同社は、上場準備の過程で感じた課題をきっかけに、上場準備クラウド「FinanScope」の開発をスタートしました。今回は、自社の上場準備や M&A の経験を通じて見えてきた課題と、その解決に向けた取り組みについて、同社管理部部長の和田拓馬氏にお話を伺いました。

デジタルキューブ 管理部 部長 和田拓馬
株式会社デジタルキューブ 管理部 部長 和田拓馬

上場準備での課題が開発のきっかけに

── 上場準備を始められた経緯を教えていただけますか。

本格的に上場準備を始めたのは2022年の秋です。会社の永続性を持たせながら発展していくことを考えた時に、個人の会社であり続けるよりも、パブリックな会社になって優秀な人材に継いでいってもらう方が良いのではないか、という判断がありました。

── 準備を始められて、どのような課題に直面されましたか?

最も大きな課題は人材不足でした。当時は管理部がなく、上場準備に必要な制度やルールを充足できる体制ではありませんでした。また、社内の業務フローも新しく整備しなければならない領域が多く、まさにゼロからの出発でした。

プロジェクト管理の重要性を実感

── 上場準備のプロジェクト管理はどのように行われていたのでしょうか?

当初は一般的なプロジェクト管理ツールの Backlog を活用していました。ただ、使用する中で『何をいつどうやったらいいのかがわからない』という課題を持つ企業が多いのではないかと考えるようになりました。特に上場準備の経験がない企業にとって、必要なタスクを一から整理することは非常に困難です。

── それがFinanScopeの開発につながったわけですね。

はい。上場準備に必要なタスクがあらかじめ組み込まれていて、進捗率も可視化されるようなツールがあれば、多くの企業の役に立つのではないかと考えました。実際に証券会社の方々にヒアリングしたところ、非常に前向きな反応をいただき、本格的な開発に着手することを決めました。

M&Aでの活用経験も開発に反映

── 2022年には株式会社ヘプタゴンとの M&A も実施されています。

この M&A の際の企業価値算定が、実は FinanScope Valuation の原型となっています。事業計画を検討する際に、この事業計画ならこれくらいの企業価値になるだろうということを、基礎となる指標を用いて協議できたことは非常に有益でした。

── その経験がサービスにどのように活かされているのでしょうか。

クラウド上で事業計画を少し修正するだけで、企業価値への影響がすぐに可視化される点は、M&A の経験から得られた知見です。売り手にも買い手にも納得感のある説明がしやすく、業務効率化にも大きく貢献すると考えています。

上場後の新たなニーズも見据えて

── TPM 上場を達成された後、新たに見えてきた課題などはありますか?

上場企業として求められる開示項目が大幅に増え、それらへの対応が新たな課題となっています。どういう項目があったときに開示が必要なのか、その判断基準なども含めて、現状はExcelで管理している部分が多いのが実情です。

この経験を活かして、上場後の運用をより効率化できる機能も開発していきたいと考えています。上場準備だけでなく、上場後も継続して活用いただけるプロダクトを目指していきます。

── 最後に、今後の展望をお聞かせください。

私たちは自身も事業会社として上場準備を経験し、その過程で感じた課題をサービスに反映させてきました。この経験を活かし、より多くの企業の上場準備やM&Aをサポートできるプロダクトに進化させていきたいと考えています。今後のアップデートにご期待ください。