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お客様について
建ロボテック株式会社 様
https://kenrobo-tech.com/

香川県を拠点に、建設現場の省力化・省人化ソリューションを開発・提供する建ロボテック株式会社。「世界一ひとにやさしい現場を創る」をミッションに、協働型ロボット「トモロボシリーズ」や鉄筋工事の省力化製品「速鉄」など、現場から生まれた実践的なソリューションで建設業界の変革に挑んでいます。
今回は、代表取締役社長兼CEOの眞部様とCFOの坂本様に、上場準備における FinanScope の活用についてお話を伺いました。
建ロボテックの事業内容と「解決屋」としてのこだわり
── 建ロボテックの事業内容について教えていただけますか?
眞部様:私たちは建ロボテックという社名なんですけど、建設現場の省力化または生産性向上、こういったことを実現するための手法を開発する「解決屋」でございます。ロボットを製造して提供している会社ではありません。
トモロボシリーズという自社ブランドを立ち上げていますが、これは「人と共に働くロボットであってほしい、人の仕事を奪うものではない」という思いが込められています。
私どもが価値としているのは「役に立つのか」「生産性が上がるのか」「楽になるのか」「楽しくなるのか」、この4つなんですね。人と全く同じ動きをするけど挙動が遅いとか、そういうものでは現場の最前線では価値がないと考えています。

── 技術開発ではなく課題解決を優先されているのですね。
眞部様:これまでは課題解決方法の開発ではなく、技術の開発っていうのが優先されてきたと思います。画像認識だったり、多関節ロボットが人のように動くにはどうしたらいいかみたいな研究がずっとされていた。でもこれには2つデメリットがあります。1つはとても高価になること。もう1つはスピードが遅くなってしまうことです。
人が判断するスピードと、機械がカメラで撮影してそれを分析する時間っていうのは全くレベルが違うんですね。我々は課題解決方法の開発をする解決屋なので、その視点で開発をして、建築現場における省人化ロボットのシェアトップになりました。逆に言うと建設現場にロボットを貸し出して売上を立ててる会社は他にないと思います。
── 眞部社長ご自身が現場の経験をお持ちとのことですが。
眞部様:我々の一番の強みは「現場の実情を正しく理解できていること」だと思っています。私が元々、建設現場で働いていた元職人で、今49歳なんですけど、33歳までは現場で作業してました。
その中で、業界に若者が全く入ってこない、もしくは入ってきたとしてもすぐやめてしまうと感じていました。私には子供がいますが、子供に「この業界で働けば?」とは言えなかった。
なぜかと言うと、夏は40度を超える気温の中で1日中仕事していないといけない、身体的にも大変しんどい仕事で、お給料が平均水準未満だからです。そして、体力が全ての業界なので、キャリアラインっていうのが引けないんですね。体力の限界っていうのが結局、キャリアのピークになってしまう。この業界はこのままでいいのかと。若者たちが、楽に楽しく働いて、なぜか生産性が上がっていて、なぜか給料が上がっていく、そんな世界を作りたいなと思って、「世界一ひとにやさしい現場を創る」というミッションを掲げました。
IPO を検討した背景と上場準備における課題
── IPO を検討されたきっかけや時期について教えてください。
眞部様: きっかけとしては、投資してくれた方々との約束を守り、恩返しをしたいという思いがあります。本格的な準備を開始したのは、1年半くらい前、坂本が参画するタイミングからです。
あくまで IPO は一つの手段であって、目的は人を助ける労働力っていうのを当たり前にすることです。そのために必要なのが金銭的負担の少ない建設系のロボットでした。でも、一般的な建設系のロボットは稼働率が低いという課題があります。これを解決、顧客目線で解決したのが短期レンタルの対応なのですが、それにするにあたってイニシャルキャッシュが必要です。我々がこのサービスを大きく展開するためには、やはりそれなりの台数を保有しないといけない、つまり大きな資金調達が必要で、その手法の1つとして IPO を検討したという形になります。あくまで成長の中の1つの手段として、今これが最適だというところで取り組んでいるというような形です。
── 地方企業が IPO 準備を進める上での特有の課題はありますか?
眞部様:香川県には IPO 経験者がほとんどいないんですよね。メンターだったり、一緒にやってくれる経験者だったりがいない。これが地方企業の大きな課題だと思います。そんな中、坂本と出会って、和田さんと出会って、FinanScope を導入することで、タスクが明確になったっていうのが非常に大きかったです。

── FinanScope 導入前に抱えていた課題や不安は何でしたか?
坂本様:眞部が申し上げたように、香川では IPO の知見を持った方が少ないという課題がありました。加えて、我々は人数的にも大きな会社ではないので、監査法人であったり、主幹事証券の方とのやりとり、IPO 準備に関するタスクっていうのが、本当に部門ごとというか、属人化していたというのが課題でした。
代表の眞部は元々鉄筋職人で経理や経営のプロではなく、なかなか全体像が見えないとか、優先順位を把握しづらいっていうところに課題感がありましたし、個人的にも抜け漏れのリスクが高いという課題を抱えていました。
IPO 準備には膨大なタスクがありますが、それぞれの優先度は大きく異なります。「これが抜けると N-2 が延びてしまう」という絶対に遅らせてはいけない重要タスクもあれば、「半年遅れても全体スケジュールには影響しない」というタスクもある。
しかし、IPO 経験者が社内にいない中では、どのタスクがどれほど重要なのか、その判断基準が分からないんです。結果として、すべてのタスクを手探りで進めざるを得ず、優先順位の判断に時間がかかり、経営陣・現場双方に大きな負荷がかかっていました。
FinanScope の活用と導入の決め手
── FinanScope を知ったきっかけは何でしたか?
坂本様:2年ほど前に、弊社の株主様である HOXIN 様からご紹介をいただいて、和田さんとご挨拶をさせていただきました。その後、社外 CFO としての資金調達支援をいただき、資本政策相談、株価算定、VC との面談立ち合い、諸手続き整理などを経て、IPO 準備の支援をお願いしています。証券会社や監査法人のご紹介、初期調査対応、内部監査のアウトソース等、FinanScope のシステム利用と併せて、幅広く対応いただいております。
── 導入を決定する際、複数のサービスを比較検討されましたか? その中で FinanScope を選んだ決め手は何でしたか?
坂本様:他のサービスと比較検討したうえで、FinanScopeに決定した理由は大きく三点あります。
第一に、IPO 準備に特化した機能・テンプレートが充実しており、一般的なプロジェクト管理ツールよりも「上場準備プロジェクト」にそのまま適用しやすかった点です。
第二に、ツールだけでなく、IPO 実務に精通した専門家による伴走支援が一体となって提供されているため、「何を・いつまでに・どのレベルまでやるべきか」が明確になり、社内の意思決定と進捗管理の精度が大きく高まると判断しました。
特に、ツール上の締め切りでは「25年N-2 のここ」となっている場合でも「半年遅れてもクリアすることが可能です」のように、進捗管理において実務に則した支援をしていただけるのがポイントでした。
第三に、監査法人や主幹事証券とのやり取りを見据えた設計になっており、必要な資料・タスクを漏れなく整理できる点が、限られたリソースの中で IPO 準備を進める当社にとって非常にフィットしていると感じたことが決め手です。
── 導入前の課題は、ツール活用や伴走支援を通じて解消・解決していますか?
坂本様:IPO 準備そのものは継続中で、新たに発生する論点やタスクもありますが、「何をすべきか分からない状態」からは脱却できたと感じています。
全体として、導入前に感じていた不透明感や抜け漏れへの不安、ノウハウ不足による非効率性は、ツールと伴走支援の両面からかなり解消され、より前向きにプロジェクトを進められる状態になっています。
建ロボテックの今後の展望と地方企業へのメッセージ
── 建ロボテックの今後の展望について教えてください。
眞部様:我々はステージが変わりつつあります。これまで応援者の方々にアーリーアダプターとして我々のサービスを使っていただいてきましたが、今後は、我々のソリューションがどんな形でどう役に立っているのかを世の中に証明しないといけないフェーズに来ていると考えています。 明らかに生産性が上がる、省力化ができる、現場で役に立っているということを、様々なシーンで証明していきたいです。
また、これまでビルや建物といった建築、橋やトンネルといった土木、こういったところにソリューションを提供してきました。そして、2025年には JR 東日本の子会社でベンチャーへの出資や協業を推進する CVC の JR 東日本スタートアップ株式会社から出資いただきました。鉄道の現場も非常に厳しいものだとわかりましたが、私の肌感として我々のソリューションがお役に立てると感じています。なので、まずは鉄道保線領域でしっかりと結果を出して、領域を広げようと考えています。
── 同じように地方で IPO 準備を検討している企業へ、メッセージがあればお願いします。
眞部様:民間とか自治体ともある程度コミュニケーションが取りやすくて、そこで協力体制を築きやすいのが地方企業の強みだと思います。
あとは、たとえば東京で営業をしていると、香川県出身とか四国出身とかいう方がいらっしゃいますし、そういったつながりを見いだせると応援してくれる方は少なくありません。そんなきっかけで応援していただけるのも、地方企業ならではじゃないかと思います。
地方で IPO 準備を進めている、あるいは検討している企業の皆さんには、ぜひ一度、自社を応援してくれている方々の「俯瞰図」を作ってみることをお勧めします。
応援者の「数」ではなく、「広がり」こそが重要です。特定の業界に支援者が集中しているよりも、影響力のある応援者が各業界にポツポツと点在している状態の方が、企業の成長において非常に価値があります。なぜなら、そういった応援者が各業界に1人ずついれば、広い領域をカバーできるからです。
IPO 後の成長をを視野に入れた戦略も大事だと考えています。IPO の3年ぐらい前から IPO 後の売上の仕込みをしておくことが大切、逆に言えば、IPO 後の成長戦略まで描けないのであれば、IPO はすべきではないと思いますので、自戒の意味もこめて結びのメッセージとさせていただきます。

今回のインタビューを通じて、地方企業の IPO における課題と、それを乗り越えるための必要な支援を改めて認識させていただきました。眞部社長が強調された「IPO は手段であり目的ではない」という姿勢や、「応援者の広がり」の重要性は、上場を目指すすべての企業にとって参考になる知見です。
「IPO 後の成長戦略まで描けないのであれば IPO はすべきでない」という言葉は、一見厳しく聞こえるかもしれません。しかし、これは上場後に苦しむ企業を数多く見てきた経営者としての、真摯なメッセージだと受け止めています。
IPO は確かに企業成長の大きなマイルストーンですが、上場そのものがゴールになってしまうと、上場後に成長が鈍化し、結果として株主や従業員、取引先など多くのステークホルダーに影響を及ぼしてしまいます。だからこそ、IPO 準備の段階から「上場後にどう成長していくのか」を描いておくことが、企業としての責任であり、持続的な成長への道筋になるのだと思います。
建ロボテック株式会社が現場起点の課題解決にこだわり続けながら IPO 準備を進める姿勢には、地方企業ならではの強みと可能性が凝縮されています。今後、同社がさらなる成長を遂げていく様子も引き続き注目したいと思います。