「みらいのおかねをデザインする」福岡発・企業型 DC 導入支援のアーリークロスが、上場準備にFinanScope を活用

「みらいのおかねをデザインする」福岡発・企業型 DC 導入支援のアーリークロスが、上場準備にFinanScope を活用

お客様について

株式会社アーリークロス 様
https://www.early-cross.com

所在地:福岡県
事業内容
・企業型確定拠出年金(企業型 DC)導入支援
・継続投資教育
・おかねについて継続的に学習できる無料公式 LINE「おかねの教科書」

株式会社アーリークロス

企業型確定拠出年金の導入支援を通じて、中小企業の「みらいのおかね」の課題を解決する株式会社アーリークロス。福岡を拠点に、これまで大企業中心だった企業型 DC を中小企業へ広げることで、日本の年金問題、さらには国の財政問題にまで貢献しようという壮大なビジョンを掲げています。

税理士法人グループから独立し、リーディングカンパニーを目指して Fukuoka PRO Market への上場準備を進める同社が、なぜ FinanScope を選んだのか。今回は契約時のインタビューとして、代表取締役の花城様と、管理部を管掌する関様にお話を伺いました。

中小企業の「みらいのおかね」をデザインする

── アーリークロスの事業内容について教えていただけますか?

花城様:企業型 DC の導入支援を行う専門会社として、中小企業向けに企業型確定拠出年金の導入支援を行っています。これまで主に300名以上の大企業向けに金融機関が導入支援を行っていましたが、中小企業にはなかなかアプローチできていませんでした。この市場に対して支援を行うのが、私たちの事業です。

「みらいのおかねをデザインする」福岡発・企業型 DC 導入支援のアーリークロスが、上場準備にFinanScope を活用
株式会社アーリークロス 代表取締役 花城様

現在、企業型 DC の普及率は約2.1%、約5万8,000社が導入していますが、そのほとんどが大企業や300人以上の中堅企業です。中小企業ではほぼ未導入という状況で、制度を知らなかったり、税理士でさえ「10名以上じゃないと入れない」といった誤った認識を持っている方も多いのが実情です。実際は、ひとり社長でも導入できる制度であり、厚生年金の適用事業者が対象となるため、約250万社がターゲット市場となります。

── 「みらいのおかねをデザインする」というビジョンには、どのような想いが込められているのでしょうか?

花城様:「デザインする」というのは、解決する仕組みを作るという意味です。確定拠出年金は、アメリカでは45年前から導入されており、ブルーワーカーの方でも 1億円の資産を持つような方が出てきている状況です。

今回のコロナ禍でアメリカの失業率が上がった後、人手不足になりましたが、過去の IT バブルやリーマンショックの時とは異なり、失業した人が働きに戻ってこなかったという傾向がありました。これは確定拠出年金で資産があるため、もう職に戻らないという選択をした方が多かったからだと言われています。

日本でも、新卒1年目から65歳まで毎月 1万円積み立てれば、市場平均リターンと言われている 8%で運用したとしても約3,800万円になります。誰でも簡単に老後2,000万問題が解決できます。

さらに視野を広げると、労働人口が現在約6,000万人いますが、皆が5,000万円貯めていけるようになったとすると、約3,000兆円の新しい金融資産が生まれます。現在の個人金融資産が約 2,000兆円ですから、全体で5,000兆円が運用されれば毎年約400兆円の運用益が生まれます。そこに金融所得課税15%がかかれば、約60兆円の新たな税収が増えていく。国の財政問題も解決する仕組みができていくのではないかと考えています。

── 個人の金融教育だけでなく、日本全体の課題解決にも繋がる大きな話ですね。

花城様:そうですね。ウェルビーイングという文脈で考えても重要です。中小企業で30年間働いた方の平均退職金は400万円から600万円程度。大企業に比べて給与が低い中小企業では、将来のお金の問題を解決するのが難しい状況があります。

企業がこの制度を導入することで、従業員の方に「この会社で働いて良かった」と思ってもらえる。これが法人における「みらいのおかね」の課題解決に繋がります。すべてを解決できるとは思っていませんが、一部を手助けできればというのが、このミッションに込めた想いです。

── これまで大手金融機関が大企業向けに展開していたものを、中小企業に広げていくということですが、普及していなかった理由は何だったのでしょうか?

花城様:「知らなかった」というのが大きいですね。会計事務所の税理士ですら、10名以上じゃないと導入できないとか、意味がないといった誤った認識を持っている方が多いです。制度を知っていただければ、個人にとってもメリットがありますし、法人にとっても節税になります。非常に魅力的な制度なのですが、認知が広がっていなかったというのが普及しなかった理由です。

リーディングカンパニーを目指して独立

── 税理法人グループから独立された背景や経緯について教えていただけますか?

花城様:創業メンバーとして、中小企業を支援していくという想いで税理法人を立ち上げました。私も新卒からずっと中小企業の財務支援を行っており、全体の DX を中心に過去から現在を効率的に可視化する業務に取り組んでいました。財務は未来の会計の話ですから、未来のアクションにどれだけ時間を使えるかが重要だと考えていました。

企業型 DC を拡げていく中で、クラウド会計の普及と似た道筋が見えてきました。私が2017年に独立したタイミングでは、クラウド会計の普及率は2%程度でしたが、8年経って今では約30%まで広がりました。企業型 DC も普及率が現在約2.1%ですから、これを認知を広げて中小企業や会計事務所に対して、企業型 DC が中小企業支援のスタンダードになるようにしたいと考えました。

私たちは税理士事務所さんとパートナーシップを結び、ご紹介いただくというモデルでやっていました。しかし、日本の企業型 DC のリーディングカンパニーになっていくためには、会計事務所がバックグラウンドにあるよりも、中立性や独立性を持った方がいいのではないかと考えました。

社会課題をビジネスで解決していく以上、リーディングカンパニーを目指すなら王道を走らなければいけません。そう考えると、上場という道も必然的に視野に入ってきます。より多くの方に応援していただくためにも、上場を目指すべきだと判断しました。

この決断を前職グループのメンバーに伝えた際、本当に快く背中を押してくれました。そこには非常に感謝しています。

── 会計業界でのご経験が、現在の事業に活きているのでしょうか?

花城様:そうですね。中小零細企業は、綺麗事だけでは解決できないことがたくさんあります。顧客の課題や会計事務所の悩みも含めて、対クライアントだけでなく、ステークホルダー全体の解像度を高く持つことができているのは、会計業界での経験があったからこそだと思います。

── Fukuoka PRO Market への上場を目指されているということですが、福岡が拠点ということでこの市場が選択肢になったのでしょうか?

花城様:そうですね。福岡発の企業ということもあり、ここが起点になっています。福岡では証券取引所も含めて、いろんなサポーターの方が支援してくださる環境があり、地元熱が高い地域だと感じています。ステップを一つずつ上がっていくことで、その熱が高くなっていくのではないかと思っています。

先日、福岡証券取引所が2009年より主宰されている「九州 IPO 挑戦隊」に参加し、この度無事にプログラムを修了いたしました。そこで私たちのことを知っていただくだけではなく、応援したいと言ってくださる方々との出会いもありました。少しずつ、一つずつ丁寧に応援してくれる人を増やしていくというのは、地方創生の本質であり、地域に根差した企業ならではの姿だと思っています。

福岡という地方で上場を目指す

── 一方で、地方で IPO を目指すことの課題や不安もあるかと思います。具体的にどのような点がありますか?

花城様:身近にIPO を目指している企業が少ないというのが課題です。情報がなかなか気軽に入ってこない。もちろんオンラインで話す機会はありますが、気軽にいろんな方と出会う機会が少ないのは、地方ならではの課題だと思います。

あとは採用ですね。東京に比べて、福岡拠点の会社に目を向けてくれない部分はあると思います。優秀な人材は東京の方が多いので、採用の課題はあります。もちろん東京だから課題がないということではありませんが、経験値を持った方を採用するのは難易度が高いと感じています。

── 現在、福岡以外にもオフィスを出されていますね。

花城様:大阪に1名、東京に3名という体制です。多拠点展開を行って、そこでの採用を進めています。また、今後考えている銀行との連携も、九州では複数の銀行と連携ができていますが、大阪や東京ではまだ連携ができている銀行がありません。その連携を目指して多拠点展開を行っています。

── 福岡でビジネスを成功させるために重要なことは何でしょうか?

花城様:福岡はスモールタウンで効率がいいといわれています。ある意味マーケットが丁度いいサイズなので「知り合いの知り合いは知り合い」という状況が高確率で起こることです。会食に行ったら違う席に知っている人がいる事とか、よくあります。笑

良い事も悪い事も噂が拡がるスピードは早い印象です。言い方を代えれば、信頼のレバレッジが効きやすいと考えています。

だからこそ、フットワークを軽く、誠実に一つずつ仕事をしていくことが重要です。遠回りのようで、実はレバレッジがかかっていきます。逆に不誠実にやった瞬間、噂が一気に広がってしまう。誠実に正しいことをやっていくのが原理原則ですが、それが特に重要な地域だと思います。

リモート体制での上場準備と FinanScope 導入

── 和田との出会いから FinanScope 導入までの経緯を教えていただけますか?

花城様:最初にお会いしたのは 2024年1月で、共通の知人を通じてご紹介いただきました。当時、私たちはまだ税理士法人グループの一員でしたし、上場という道は、まだ経営の具体的な視野に入っておりませんでした。

これまでの背景もあり、2024年11月頃に上場を目指してやっていこうという話になり、ちょうど Fukuoka PRO Market も開設されることを知りました。和田さんの所属する株式会社デジタルキューブが TOKYO PRO Market に上場される前のタイミングでお会いしていたので、まずは管理部の採用や上場準備について相談させていただいていました。

また、関がちょうど前職のグループを卒業するタイミングだったこともあり、協力してもらえないかという話になりました。

── 関様が加入されたタイミングと、上場準備開始のタイミングについて教えていただけますか?

関様:私は税理士法人グループの管理部門でシステムや経理、経営企画等を担当していました。グループの代表とは東京で知り合いだったこともあり、「人が増えてきてお客様と対応する有資格者はたくさんいるけれどバックオフィス系の人間が足りないので手伝ってほしい」という話をいただいて、3年ほど在籍していました。

そのあと、福岡から東京に戻ろうかと思ったタイミングで、アーリークロスが独立するという話を聞きました。企業型 DC という事業の趣旨も面白いですし、自分自身も2,000万円を貯められるのかという不安もあったので、「お手伝いさせてください」ということで参加させていただきました。

管理部 関様

私は以前、上場準備中の会社や上場直後の会社を経験してきたので、そういった経験も活かせるのではないかと考えました。

── 上場準備を始めるにあたって、どのような課題を感じていましたか?

花城様:私自身、IPO の経験がなく、解像度が低い状況でした。関は経験がありましたが、他の管理部のメンバー 2名も経験がなく、一人は福岡、もう一人は北海道で勤務しているリモート体制でしたので、情報共有やタスク管理をどう見える化していくかが課題でした。何をすればいいか分からない中で、「これ大丈夫かな」という漠然とした不安がありました。

そんな時に和田さんのことを思い出し、FinanScope について改めて説明をいただきました。さらに、私たちはフィリップ証券に F-Adviser を依頼しており、和田さんたちもフィリップ証券との連携も強いと聞いていたので、進めやすいと考えました。自社でツールを作っても、金融機関なので「使えない」と言われることもあると思いますが、そういう心配もないだろうと。ステークホルダーのことを考えた時に、非常に使いやすいツールではないかということで導入させていただきました。

── 他のツールとの比較はされましたか?

花城様:特に比較はせずに決めました。タイミングや、フィリップ証券との相性、リモート体制での使いやすさなど、いろんな要素がうまく重なったと感じています。

関様:Excel やスプレッドシートで一から作るのは工数もかかりますし、正直面倒だなという作業でした。こういうツールがあった方がありがたいですし、みんなと同じものを見ながら、しかもリモートで画面を見ながらやれる方が望ましいということで、賛同しました。

FinanScope の活用と効果

── 実際に FinanScope を使い始めて、どのような変化や効果を感じていますか?

関様:担当者を決めて分担ができるようになったのが大きいです。以前は Excel やスプレッドシートで「みんなで一緒に見ましょうね」という形でやっていましたが、システムになったことで、担当者を決めて「この日までにこういうの作ってね、作り終わったらここのファイル入れてね」という形ができて、やりやすくなりました。

コメント機能で複数人に対してやり取りを送ることで、メールが飛んで「こういうやり取りをしているんだな」と分かります。北海道の担当者が福岡の担当者と私宛にコメントを飛ばしたり、規程作成を頼んでいるの外部の方と「これどうですかね」「こう返したらどうですか」というやり取りができる場になっています。やりとりが一つの場所で集約ができるというのが、便利だなと実感しています。

ただ、どの課題に自分宛てのコメントやタスクがあるのか、もう少し一目で判別できると助かります。あわせて、ファイルの検索性や視認性が向上すれば、さらに利便性が高まるはずです。

でも、Excel よりもとても使いやすいという実感をしている状況です。証券会社や監査法人とのやり取りも見える化されることも重要で、他のアドバイザーの方もそのやりとりを見られるので、「この会社はちゃんと進んでいるな」という安心感を提供できると思います。

後でストックとして見返す時も、このタスクを遡ったらここに書いてあるというのが出てくると思います。ストックが溜まれば溜まるほど、更に価値を実感できると思います。

── 貴重なフィードバックをありがとうございます。今後より使いやすくなるように引き続き改善に努めてまいります。

今後の展望 ─ 40万社の中退共市場へ

── IPO 後に実現したい事業展開について教えていただけますか?

花城様:中小企業退職金共済(中退共)に注目しています。約40万社が導入していますが、運用利回りがほとんど国債で回っているため、0.1%から1%程度と非常に低い水準です。インフレ率2%の時代に、せっかく中小企業が従業員のために少ない原資の中で積み立てたものが、実質的に目減りしていくという状況は何とかしなければいけません。

まずは40万社というニーズがあるところにしっかり企業型 DC を知ってもらって、その中で私たちが企業型DCにおいて日本のリーディングカンパニーとして、シェアをしっかり取っていきたい。「DC といえばアーリークロス」と、日本の中小企業や中小企業を支援している方々に認知してもらうことが目標です。

そのためには、まだまだ中小企業が制度を知らない状態ですから、普段から財務アドバイスをしていらっしゃる信頼している方々から、「DC がいいよ」と言っていただくのが一番の近道です。運用を活用して財務問題を解決しようと思うと、時間軸が非常に重要です。1日でも早くやればその分、10年後 20年後が大きく変わりますから。

税理士事務所をはじめとするパートナーの皆様から応援いただき、、「DC だったらアーリークロスに任せたら大丈夫だよね」「専門性を持ったアーリークロスにお願いするのがベストだ」と言ってもらえるような、仲間やファンになっていただける方々をたくさん増やしていきたいと思っています。

私たちのビジョンの中に、「私たちが信頼している人たちとその大切な人たちの老後生活におけるお金の問題を解決して豊かな生活を送る」という一節があります。「私たち」というのは、もちろんアーリークロスのメンバーも該当しますが、それだけではありません。パートナーの税理士事務所の方々、そしてお客様が大切にされている経営者仲間。そうしたステークホルダーの皆様まで、少しずつこの「私たち(We)」を拡げていきたいと考えています。

そのためにも、社会の公器としてちゃんと応援していただける形作りとあり方を実現していきたいです。

地方企業へのメッセージ

── 最後に、福岡や地方で IPO を検討している企業に向けて、メッセージをいただけますか?

花城様:今、ウェルビーイングという言葉がトレンドになっていますが、地方で働くことはまさにウェルビーイングだと思っています。

経済活動だけ考えたら東京に出た方が年収は上がります。マーケットが大きいですし、競争も激しい分、勝てば年収が上がりやすいのは資本主義のルール上、分かりきったことです。でも、あえて地方に住んでいるのは、経済的豊かさだけが幸福じゃないからだと思うんです。まさにそれがウェルビーイングの発想です。

一方で、資本主義社会ではお金も重要です。お金があるだけでは幸せになれないが、幸せになるためにお金は必要です。となると、地方企業がしっかり地方から日本の課題を解決して、収入や売上を上げていく。売上というのは社会に貢献した対価ですから、それを大きくしていくことで売上を伸ばし、従業員や関係者に還元していく。

お金で得られる幸福も満たしながら、自分が好きな町、ここで生きていきたいという町で、社会貢献ができるという使命感を持って働けることが、本当のウェルビーイングに繋がっていくと思います。そして、それこそが地方創生だと考えています。

地方に“中央からお金が落ちてきて”元気になる、という話だけではないと思っています。
 地方が自分たちの力で、「この場所で暮らし、働くことが幸せだ」「ここにはウェルビーイングがある」と自然に言える空気をつくる。
 そして胸を張って、「僕たち地方から社会を良くしているんだ」と語れることが、本当に大事なんじゃないでしょうか。

そういう企業が一社、また一社と増えていけば、地方はもっと強くなる。僕はそう思っています。

社会課題をビジネスで解決しようと思ったら、IPO は必要な仕組みだと思います。ぜひ一緒にその仕組みを使って、地方創生やウェルビーイングを実現して、日本をもっと良くできればと思います。そういう仲間が増えると嬉しいです。


和田拓馬(監修)

今回のインタビューを通じて、「地方から社会課題を解決する」という志を持つ企業の力強さを改めて感じました。花城社長が語られた「地方で働くことはまさにウェルビーイング」という言葉には、経済的豊かさだけではない、地方企業ならではの価値観が凝縮されています。

「社会課題をビジネスで解決していく以上、リーディングカンパニーになろうとするなら王道を走らなければいけない」という言葉も印象的でした。企業型DCの普及率2.1%という市場に対して、中小企業への認知拡大から取り組み、40万社の中退共市場への展開まで見据える。その視座の高さと、一方で「信頼のレバレッジが効きやすい」福岡という地域特性を活かしながら、誠実に一つずつ仕事を積み重ねていく姿勢。この両立こそが、地方発スタートアップの一つの理想形ではないでしょうか。

私自身、香川県出身として地方企業の課題を肌で感じてきました。リモート体制での上場準備という新しい挑戦においても、FinanScopeが「見える化」と「情報共有」の基盤としてお役に立てていることを嬉しく思います。

「DCといえばアーリークロス」と言われる日を目指し、日本の年金問題、さらには国の財政問題にまで貢献しようという壮大なビジョン。その実現に向けた歩みを、引き続き応援してまいります。