M&A支援機関ってなに? 支援機関に依頼することで活用できる補助金がある?

「M&A支援機関登録制度」とは、どのような制度ですか?

M&A支援機関に係る登録制度は、中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するために設けられたものです。令和3年4月28日に、中小企業庁は中小企業を当事者とするM&Aを推進するため今後5年間に実施すべき官民の取組を「中小M&A推進計画」 として取りまとめました。この計画では、①事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)において、M&A 支援機関の登録制度を創設し、予め登録された機関の提供する支援に係るもののみを補助対象とすること、②登録したM&A支援機関による支援を巡る問題等を抱える中小企業等からの情報提供を受け付ける窓口も創設することとしています。 M&A支援機関に係る登録制度の実施を通じて、「中小M&Aガイドライン」の理解及び普及を促し、中小企業が、より一層円滑にかつ安心してM&Aを手段の一つとして選択できる環境の実現を目指します。(出典:中小企業庁「よくあるご質問|M&A支援機関登録制度」)

出典:中小企業庁「よくあるご質問|M&A支援機関登録制度」

M&A支援機関に登録するメリット・登録支援業者を利用するメリット

M&Aを依頼する経営者にとってのメリット

M&A支援機関に登録された事業者は、中小企業庁から管理されており、問題行為等をおこなった際の通報窓口も設けられているため、悪質な事業者(報酬が過度に高額など)に依頼してしまうリスクを低減することができます。また、M&A支援機関に登録された事業者へ支払った費用の一部は、「事業承継・引継ぎ補助金」の補助対象になるため、中小企業者の費用負担を少なくすることができます。

登録する事業者にとってのメリット

M&A支援機関に登録することで、中小企業庁のホームページにある登録支援機関データベースに公開されるため、登録支援機関の中から仲介会社を選定しようと試みる中小企業者に対するマーケティング効果があります。また、登録支援業者として中小企業庁の管理のもと適切に運営している旨をアピールすることができれば、顧客へ安心感を提供することが可能となり、依頼獲得への一助となります。

M&Aに取り組むにあたって、経営者が活用できる補助金は?

M&Aに取り組むにあたって、経営者が活用できる補助金は、主に下記の2つです。

  1. 事業承継・引継ぎ補助金
  2. 事業再構築補助金

事業承継・引継ぎ補助金はどんな補助金?

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継を契機として新しい取り組み等を行う中小企業等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業等を支援する制度です。多くの中小企業で後継者が未定となっている状況の中で、費用負担の軽減や承継後の積極的な投資を促進するために、中小企業者の事業承継・経営資源引継ぎに要する費用を、一部補助するものです。

事業承継・引継ぎ補助金はどんな場合に活用できるの?

事業承継・引継ぎ補助金には、3つの類型があり、それぞれ次の場合に活用できます。

1.経営革新事業

創業や経営者交代、M&Aをきっかけに経営革新等に取り組む場合に活用できます。

2.専門家活用事業

経営資源の引継ぎの際し、FA*・仲介**費用やデューデリジェンス費用を負担した場合に活用できます。ただし、「M&A支援機関登録制度」に登録された専門家による支援が対象です。

*FA …ファイナンシャル・アドバイザーの略。買い手か売り手のどちらか一方と契約を結び、契約した側のみの M&Aをサポートする事業者
**仲介…買い手・売り手の双方と契約を結び、交渉の仲介役として中立的な立場でM&Aをサポートする事業者

3.廃業・再チャレンジ事業

再チャレンジを行うために既存事業の廃業等をおこなった場合に活用できます。

事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用事業)の具体的な補助内容は?

対象者
事業再編、事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受ける側、譲り渡す側の中小企業等が対象です。

補助率
買い手企業は「2/3」、売り手企業は「1/2又は2/3」となっています。売り手企業は、①物価高騰の影響により、営業利益率が低下、②直近決算期で営業または経常赤字、のいずれかの場合、補助率が2/3に引き上げられます。

補助金額
50万円以上、600万円(廃業を伴う場合は+150万円)以内

補助対象経費:
主に、FA・仲介業務の着手金・中間報酬・成功報酬等
ただし、FA・仲介業者は「M&A支援機関登録制度」に登録された事業者に限ります

事業再構築補助金はどんな補助金?

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難い中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新市場進出(新分野展開、業態転換)、事業・業種転換、事業再編、国内回帰又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

出典:中小企業庁「事業再構築補助金の公募要領」

事業再構築補助金はM&Aにも活用できるの?

株式の購入費については補助対象外であることが明記されているほか、仲介手数料やデューデリジェンス費用についても対象となる可能性は高くないでしょう。
仲介手数料やデューデリジェンス費用については、上述の事業承継・引継ぎ補助金を活用するのがよいでしょう。

一方で、M&Aが事業再構築補助金における事業再構築指針で定められた事業再編*に該当する場合、事業再構築補助金の活用が可能です。

*事業再構築指針で定められた事業再編とは、会社法上の組織再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、事業譲渡)等を行い、新たな事業形態のもとに、新市場進出、事業転換又は業種転換のいずれかを行うことをいいます。

M&Aの場面で事業再構築補助金を活用することは、事業再構築補助金を活用するなかでも高度な内容になることが想定されるため、補助金の専門家のアドバイスを受けながら申請することをおススメいたします。

脚注
M&A支援機関ってなに? 支援機関に依頼することで活用できる補助金がある?